睡眠のメカニズム

睡眠のメカニズム

人は夜の休息の際に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つを繰り返し、回復しています。

通常は休息の前半に深い休息(ノンレム)が多く、後半は浅い休息(レム)が多く出現すると言われています。

健康な人の場合、休んだ直後休息が深くなり、しばらくその状態が続いた後、浅い休息に移行するリズムを90120分のサイクルで繰り返します。

レム睡眠

レム睡眠は睡眠中急速眼球運動睡眠ともいわれており、約1020分程度、脳は覚醒時に近い状態で活発に動き記憶の整理や定着を行なっています。

この時、運動機能はほぼ停止しており、寝ながらにして動くことを防止しています。

「寝る子は育つ」という言葉があるように、レム睡眠がもっとも多い発達期に中枢神経系の発達が促されます。

成人後は年齢と共にレム睡眠の割合は減少していき、一晩の睡眠の25%程度が平均となっています。

また、レム睡眠中の夢は奇抜なものや内容が濃く、感情を伴うものが多いのが特徴です。
奇妙な夢を見ていても夢の中では違和感がないことには理由があります。

視覚などの間隔を司る大脳皮質感覚野と感情を司る大脳辺縁系がメインで活動しており、倫理的な思考を司る前頭葉の一部の活動が低下しているからです。

夢の内容を覚えている場合が多いのも特徴の一つです。

ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は一晩の休息の75%を締め、約7080分程度急速眼球運動を伴わず大脳を眠らせ疲労とストレスの回復を行なっています。

ノンレム睡眠はレム睡眠に比べて眠りが深く、4つの段階があります。

その4つの段階の中で眠りが深くなるにつれて大脳もどんどん眠っていき、特に深い睡眠時は大脳の活動が最低限に制止されているため少しの物音や衝撃では起きません。

また、ノンレム睡眠と違い体温の低下、発汗作用、呼吸の心拍数が安定するのも特徴で寝汗をかくのもこの時間です。

寝付いてすぐの深いゾーンの睡眠を「徐波睡眠」といい、一夜の睡眠の中で最も眠りの質が良い時間です。

一番最初の徐波睡眠は健康と美容にとって重要な時間であり一般的に「ゴールデンタイム」と言われています。

大脳はこの時間に脳内の掃除を行います。

脳内には大きく分けて神経細胞とグリア細胞の2種が存在しており、グリア細胞は神経細胞や血管などの隙間を埋め、脳を保護しています。

日中は細胞同士の隙間が狭く不可能ですが睡眠中はグリア細胞が縮み、脳内の老廃物を排出することでアルツハマー病のような症状が起きることを予防します。

実際に睡眠不足の人よりも、よく寝る人の方が記憶力がいいというデータが取れています。

除波睡眠時には脳の「海馬」という大脳辺縁系の一部を通して、見聞きしたものを「言語」として記憶します。
仕事や勉強がうまくいかない人や、頭がスッキリしない人は休息中の環境を整えて徐波睡眠の時間をより多くとれるようにするといいかもしれません。

レム睡眠同様ノンレム睡眠でも夢を見ますが、シンプルな内容が多く夢の内容を覚えていることは少ないです。

そのため「夢を見たけどどんな内容だったかな?」と思い出せない場合の夢ノンレム睡眠時に見た夢の可能性が高いです。

体内時計

質の良い休息のためには、体内時計を整えておくことも大切です。
徐波睡眠をベストな時間にするためには身体のサイクルが整っていることが必須条件です。

体内時計を整えるには「セロトニン」という神経伝達物質を増やすことが重要です。
「セロトニン」は日中に分泌され、日が落ちて暗くなるにつれて「メラトニン」という物質を作り始めます。

「睡眠ホルモン」ともいわれるメラトニンが、体内時計に働きかけることで睡眠欲が引き出されます。

このメラトニンは光を浴びることで体内時計のズレをリセットしようと働きかけるので、遅くまでパソコンやスマホを扱う人は休息不足になりやすいのです。

また、よりよい休息をとるためには入眠するタイミングも重要です。

年齢とともに休息のサイクルは変わっていくので、うまく自分の休息サイクルと向き合って、改善していきましょう。

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